当協会社員である出版教育著作権協議会が公開したガイドラインについて

2019年6月21日

関 係 各 位

当協会社員である出版教育著作権協議会が公開したガイドラインについて

当協会社員である出版教育著作権協議会が一般社団法人日本書籍出版協会のホームページにて6月4日付で公開いたしました「出版物に関する35条ガイドライン」及び「教育目的利用フローチャート」(以下「出版ガイドライン等」といいます。)に関しまして、関係各位から、どのように理解すればよいのか等、多くのお問い合わせを頂戴しております。
本件、授業目的公衆送信補償金等の制度構築過程におきまして、疑義が生じる状況、または混乱を招きましたこと、関係者各位の皆様に深くお詫び申し上げます。この出版ガイドライン等につきまして、以下のとおりご説明させていただきます。

まず、この出版ガイドライン等が、現在、教育フォーラムで議論されております学校教育における著作物利用ガイド(案)(以下「教育利用ガイド(案)」といいます。)について、対立したり、優越したりする意図をもって公表されたものではないことを、出版教育著作権協議会に確認しておりますことを申し上げます。
今回公表された出版ガイドライン等は、これまでも表明されていた出版社等が中心となって設定された日本書籍出版協会サイトに掲載の「出版物に関する35条ガイドライン」(平成16年3月、著作権法第35条ガイドライン協議会)を出版教育著作権協議会加盟団体が出版者固有の立場からアップデートした内容のものであり、権利者を網羅して合意したものではなく、権利者団体の総意としての意見でもありません。同協議会を構成する個々の出版社は、日々の実務の上で、教育機関等の利用について、問い合わせを受け、許諾の可否を判断する必要に迫られていることから、出版社としての現状の利用に対応したガイドラインを作成、提示することが必要であるとの認識に基づき、同協議会内での検討結果として、このたび出版ガイドライン等を公開するに至ったと同協議会は説明しているところから、掲載の主体、趣旨などについて、より分かりやすく、誤解なく理解いただけるような変更措置を求めております。

これに対して、広く権利者全般と教育関係者が集まって、利用方法の詳細について意見交換をし、それを一定のまとめとする試みは、現在フォーラムで検討を進めております教育利用ガイド案が初めてであり、今後の制度構築及び運用の要となっていくものと考えております。現在、著作物の教育利用に関する関係者フォーラムの場におきましては、授業目的公衆送信補償金の対象範囲や、教育機関が行う許諾が必要な利用に対し、権利者側が提案する新しい利用許諾方式の適用範囲をわかりやすく示すためのガイドラインの作成を目指しておりますが、同協議会も権利者側の一員として、委員を派遣し、協力しております。

なお、出版教育著作権協議会は、一般社団法人日本雑誌協会、一般社団法人日本書籍出版協会、一般社団法人自然科学書協会、一般社団法人日本医書出版協会、一般社団法人出版梓会、一般社団法人日本楽譜出版協会、一般社団法人日本電子書籍出版社協会からなる出版社の団体です。

ICTを活用した教育に携わる方が著作物を利用する際の一助となるガイドラインを、教育関係のみなさまのご協力をいただきながら、著作物の教育利用に関する関係者フォーラムの意見交換を経てとりまとめを目指す方向性につきましては、当協会として一切変更はございません。出版教育著作権協議会もこの方向性については一致しております。今回公開された出版ガイドライン等につきましては、今後のフォーラムで引き続き検討いたしますガイドラインをとりまとめる過程で、出版の分野における個別の事情として考慮すべき点を示したものという範囲にとどまるものです。

関係各位におかれましては、以上の事情につきまして、何卒ご高察いただき、引き続きご理解、ご協力を賜りますようお願いする次第です。

著作物の教育利用に関する関係者フォーラム共同座長
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会
常務理事 瀬 尾 太 一