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カテゴリー02 改正著作権法35条(学校その他の教育機関における複製等)の内容について

 著作権法では、他人の著作物等を複製や公衆送信等の方法によって利用する場合、原則として権利者の事前の了解が必要とされています。

 しかしながら、全ての利用について権利者の了解が必要だとすると、著作物利用の性質からして著作権が及ぶものとすることが妥当でないものや、公益上の理由から著作権を制限することが必要と認められるものなどがあることから、著作権法で定められた特別の場合については、権利者の了解なしに著作物等を利用してもよいことになっています(これを「著作権の制限」といいます)。

 この1つの例が学校等の非営利の教育機関における授業目的の著作物等の利用です(現行法35条)。この規定は教育という公益的な利用にかんがみ、一定の条件を課した上で著作物等の自由利用を認めています。35条も含めた教育関係の制度の概要については下記を参照してください。

著作権テキスト<初めて学ぶ人のために>(文化庁)<35条の解説は68頁>(閲覧日2019.3.18) 
著作権なるほど質問箱(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

教育関係者向けパンフレット(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

学校教育と著作権(公益社団法人著作権情報センター)(閲覧日2019.3.18)

情報通信技術(ICT)の進展により、遠隔地に居ても希望する授業がうけられたり、予習・復習のために授業を繰り返し視聴したりする等、ICTを活用することによって教育の質の向上や教育機会の確保が期待されています。

 現行の著作権法では、学習者を前にして行われる対面授業で利用される著作物等を複製・配布することや、当該授業が行われている場所とは別の場所に同時に公衆送信することができることとされています(現行法35条2項)。

 2018(平成30)年の著作権法改正では、この対面授業の同時公衆送信だけでなく、それ以外の公衆送信も権利者の了解なしにできるようになりました(改正法35条1項)。

 改正後は対面授業で利用された著作物等をクラウドなどに一旦蓄積し、学習者等からの求めに応じ、権利者の了解なしに著作物を公衆送信できるようになりました。

 また、学習者の前で行われない授業(スタジオ型授業)も同様に、同時か異時かにかかわらず、権利者の了解なく著作物等を公衆送信できるようになりました。

 この改正により、今までは権利者の了解なしにできなかった異時で行われる遠隔 授業や、予習・復習のための著作物等の利用、通信制の学校・学部等で行われるスタジオ型授業等に権利制限が拡大さ れたことになります。

 なお、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信については、権利者の了解は必要なくなりましたが、教育機関の設置者は権利者に相当な額の補償金を支払うことが必要とされました(これを「授業目的公衆送信補償金」といいます。改正法35条2項、104条の11参照)。

制度の詳細については、下記のサイトを参照してください。

教育の情報化等を推進するための著作権法の改正について(通知)(文化庁)(閲覧日2019.3.18)
教育の情報化の推進のための著作権法改正の概要(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

 情報通信技術(ICT)の進展により、ICTを活用した教育が今後も拡大していくと考えられています。

 その場合に、他人の著作物等を教材として活用する必要性も高まると思われますが、例えば、権利者に相談しても利用を断られる、権利者の連絡先が不明で了解が得られない、高い使用料を請求されるなどの理由から契約処理を円滑に行うことができず、場合によっては利用を断念せざるを得ないこともあります。

 改正著作権法35条では、ICTを活用した教育が拡大しつつあるという状況を踏まえ、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信についても権利制限が拡大されました。

 この改正により、教育機関は権利者の了解なしに、条約上保護義務のある外国の著作部等も含め公表されている全ての著作物等について授業目的の公衆送信ができるようになり、教材作成の円滑化や教育の質的向上に貢献すると考えています。

 2018(平成30)年の著作権法改正により、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信についても、権利者の了解なしに行うことができることとなりましたが、権利制限の代償措置として、教育機関の設置者は権利者に相当な額の補償金を支払うことが必要とされました(これを「授業目的公衆送信補償金」といいます。改正法35条2項、104条の11参照)。

 この補償金請求権は本来個々の権利者に与えられたもので、補償金の額も本来は個々の権利者と交渉をして決めるのですが、教育機関で利用される著作物等は多種多様であり、また大量に利用されることから、補償金の請求及び受領の簡便化、効率化等を図るために、権利者の代表と認められる団体であって、文化庁長官の指定を受けた団体(これを「指定管理団体」といいます)があるときは、当該団体を通じてのみ補償金請求権を行使することになりました(改正法104条の11参照)。

 この指定管理団体として、既に2019(平成31)年2月15日に「一般社団法人授業目的公衆送信等管理協会」(略称:SARTRAS(サートラス))(本会のことです)が文化庁長官から指定を受けています。

授業目的公衆送信補償金に係る指定管理団体の指定について(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

 このことを教育機関側から見ますと、この指定管理団体は、条約上保護義務のある外国の著作物等も含め全ての著作物等に関する補償金請求権を管理していることになりますので、著作物を利用する際は、この団体だけに補償金を支払えば、改正法35条の範囲内の公衆送信について、権利者の了解なしに利用できることになります。

 なお、この指定管理団体は補償金請求権を独占的に管理するため、補償金の額は、文化庁の認可制になっています。補償金の額はまだ申請前なので認可されていませんが、指定管理団体では、現在教育機関関係者との間で情報交換を進めているほか、認可申請前には教育機関設置者の団体から意見聴取を行う予定です。

 著作権法35条の改正を提言した文化審議会の検討結果では、複製機器等の普及状況や外国における法制度を踏まえると、授業目的の著作物等の複製・公衆送信のどちらについても補償の必要性が認められるとしつつ、これまで無償で利用できるとしていた行為についてまで補償金の支払い対象にすると教育現場に大きな混乱をもたらすとして、新たな権利制限の対象行為についてのみ補償金の対象とすべきとしています。

 この検討結果については、デジタル化社会が進展する中で、教育利用という公益性のある利用であったとしても、デジタル方式により著作物等が複製され、公衆送信されると違法複製物の作成、拡散の危険性が高まり、権利侵害がより深刻になるおそれがあるとする権利者側の懸念を理解していただいたものと考えています。

 このようなことから、改正著作権法35条における補償金制度の導入については、教育利用という公益的な利用と権利者が被る不利益の調整の結果であると考えています。

 なお、改正著作権法では、補償金の請求については、指定管理団体制度を採用し、文化庁長官が指定した管理団体(本会のことです)を通じてのみ請求することになっています。したがって教育機関については、本会に文化庁長官が認可した補償金の額を支払えば、補償金の支払いは完了したことになります(改正法104条の11、104条の13参照)。

 改正著作権法35条の補償金制度は、教育利用という公益的な利用と権利者が被る不利益の調整の結果、導入されたものです。

 補償金は確かに一定の財政的負担となりますが、今回権利制限が導入された利用範囲については、法改正以前も一般に有償であり、かつ、これまでは利用に当たってひとつひとつ許諾を取る必要がありました。また、本制度はあくまで新たな選択肢であり、必ずしも全ての教育機関が補償金を支払わなければならないものではなく、これまでどおり個別に契約をして利用していただいても構いません。
 改正著作権法35条により、今後さらに拡大するであろうICTを活用した授業目的の公衆送信について、外国の著作物等を含め公表された全ての著作物等について、本制度によって、これまでのような利用許諾契約の手続きの負担なく自由に利用できるという利点についても着目していただきたいと考えています。
また、指定管理団体制度の採用により、補償金の支払い窓口も1つに限定され、事務手続の大幅な簡便化が図られています。

なお、補償金の額は教育機関設置者の団体への意見聴取も含めて本会が作成したものを文化庁長官へ申請し、文化庁長官が認可するものであり、本会が自由に設定できるわけではありません。

 このように、教育機関が一方的に重い負担を強いられるという仕組みでないないことをご理解いただきたいと考えています。

 補償金の額についてはまだ決まっていません。

 補償金の額については、指定管理団体である本会が補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受ける必要があります(改正法104条の13第1項参照)。

 また本会が補償金の額を定めるに当たっては、あらかじめ教育機関側から意見を聴取する必要があります(改正法104条の13第3項参照)。

 現在、本協会は、関係者フォーラムで得られた教育関係者からの意見の集約に努めているところであり、今後補償金案を策定し、法律上の正式な意見聴取を教育機関の設置者の代表団体から行った上で、認可申請を行う予定です。

 なお、申請の時期については未定です。

 補償金の支払義務者は、改正著作権法35条2項で教育機関の設置者と定められています。

 具体的な支払い方法は未定ですが、個々の教育機関が補償金を支払うのではなく、例えば教育委員会、学校法人、国、地方公共団体等の教育機関の設置者ごとに傘下の教育機関の分がまとめて本会に支払われることも考えられます。

 補償金の対象範囲は、改正著作権法35条に定める授業目的の公衆送信を行う行為です。
同じ教育機関でも、例えば、小学校の場合、1年から4年までは対面授業だけで、授業目的の公衆送信を行うのは5年と6年のみということであれば、補償金の対象範囲は原則として5年と6年の分だけということになります。
また、大学の場合、A学部は実施しないが、B学部は実施するということであれば、補償金の対象範囲は原則としてB学部だけということになります。

 このように、授業目的の公衆送信を行わない児童・生徒・学生等の分については補償金の支払いを要しません。また、本制度はあくまで新たな選択肢であり、必ずしも全ての教育機関が補償金を支払わなければならないものではなく、これまでどおり個別に契約をして利用していただいても構いません。

 分配の方法に関する詳細については、今後本会において検討することになります。

分配については透明性が重要であると考えておりますが、教育機関の種類や教育の内容等によって利用の実態が異なると思われるため、統計学的に一定の精度を確保するための方法等について、調査の専門家等も加え関係者間で具体的な方法を検討することにしています。

 改正著作権法では、授業目的公衆送信補償金の総額の一定割合を、「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業に支出しなければならない」としています(改正法104条の15第1項参照)

 これを本会では「共通目的事業」と呼んでいます。

 改正著作権法においてこの制度ができたのは、指定管理団体は外国の著作物等を含めた公表されている著作物等の全ての補償金請求権を強制的に管理しているにもかかわらず、権利者が不明で連絡できないことや通常の実態調査では分配の対象となる権利者が完全に捕捉できないこと等から、全ての権利者に正確に補償金を分配することができないので、共通目的事業の実施により間接的にではありますが補償金の一部を権利者又は社会全体に還元するために設けられたものです。

 この共通目的事業への支出については、わが国の場合、私的録音録画補償金制度において同様の例があります(現行法104条の8参照)。

 なお、共通目的事業に使用される割合は、今後改正後の著作権法施行令第57の11を踏まえて定められることになっています。また、事業の内容については、今後本会において検討することになっています。

 共通目的事業は、本会が教育機関の設置者から収受した授業目的公衆送信補償金の総額から、改正後の著作権法施行令第57の11に基づいて定められる一定割合を差し引いた金額を共通目的基金とし、それを原資として事業が行われることになります。

 共通目的事業の内容は、改正著作権法で「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業」に支出されることになっています(改正法104条の15第1項参照)。

 具体的な事業はまだ決まっていませんが、本会に設置される予定の共通目的事業委員会(仮称)において、権利者側、教育機関側に学識経験者を加えた委員により審議され決定されることになります。

 改正著作権法のうち、授業目的公衆送信補償金制度に関する部分については、補償金制度の円滑な実施を図るためには相当の準備期間を要することから、改正著作権法の公布の日である2018(平成30)年5月25日から3年以内で政令において定める日から実施(施行)されることになっています。

 したがって、改正著作権法35条が実施(施行)されるまでは、対面授業の同時公衆送信以外の公衆送信については、権利者の事前の了解が必要となりますのでご注意ください。

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カテゴリー02 改正著作権法35条(学校その他の教育機関における複製等)の内容について

 著作権法では、他人の著作物等を複製や公衆送信等の方法によって利用する場合、原則として権利者の事前の了解が必要とされています。

 しかしながら、全ての利用について権利者の了解が必要だとすると、著作物利用の性質からして著作権が及ぶものとすることが妥当でないものや、公益上の理由から著作権を制限することが必要と認められるものなどがあることから、著作権法で定められた特別の場合については、権利者の了解なしに著作物等を利用してもよいことになっています(これを「著作権の制限」といいます)。

 この1つの例が学校等の非営利の教育機関における授業目的の著作物等の利用です(現行法35条)。この規定は教育という公益的な利用にかんがみ、一定の条件を課した上で著作物等の自由利用を認めています。35条も含めた教育関係の制度の概要については下記を参照してください。

著作権テキスト<初めて学ぶ人のために>(文化庁)<35条の解説は68頁>(閲覧日2019.3.18) 
著作権なるほど質問箱(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

教育関係者向けパンフレット(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

学校教育と著作権(公益社団法人著作権情報センター)(閲覧日2019.3.18)

情報通信技術(ICT)の進展により、遠隔地に居ても希望する授業がうけられたり、予習・復習のために授業を繰り返し視聴したりする等、ICTを活用することによって教育の質の向上や教育機会の確保が期待されています。

 現行の著作権法では、学習者を前にして行われる対面授業で利用される著作物等を複製・配布することや、当該授業が行われている場所とは別の場所に同時に公衆送信することができることとされています(現行法35条2項)。

 2018(平成30)年の著作権法改正では、この対面授業の同時公衆送信だけでなく、それ以外の公衆送信も権利者の了解なしにできるようになりました(改正法35条1項)。

 改正後は対面授業で利用された著作物等をクラウドなどに一旦蓄積し、学習者等からの求めに応じ、権利者の了解なしに著作物を公衆送信できるようになりました。

 また、学習者の前で行われない授業(スタジオ型授業)も同様に、同時か異時かにかかわらず、権利者の了解なく著作物等を公衆送信できるようになりました。

 この改正により、今までは権利者の了解なしにできなかった異時で行われる遠隔 授業や、予習・復習のための著作物等の利用、通信制の学校・学部等で行われるスタジオ型授業等に権利制限が拡大さ れたことになります。

 なお、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信については、権利者の了解は必要なくなりましたが、教育機関の設置者は権利者に相当な額の補償金を支払うことが必要とされました(これを「授業目的公衆送信補償金」といいます。改正法35条2項、104条の11参照)。

制度の詳細については、下記のサイトを参照してください。

教育の情報化等を推進するための著作権法の改正について(通知)(文化庁)(閲覧日2019.3.18)
教育の情報化の推進のための著作権法改正の概要(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

 情報通信技術(ICT)の進展により、ICTを活用した教育が今後も拡大していくと考えられています。

 その場合に、他人の著作物等を教材として活用する必要性も高まると思われますが、例えば、権利者に相談しても利用を断られる、権利者の連絡先が不明で了解が得られない、高い使用料を請求されるなどの理由から契約処理を円滑に行うことができず、場合によっては利用を断念せざるを得ないこともあります。

 改正著作権法35条では、ICTを活用した教育が拡大しつつあるという状況を踏まえ、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信についても権利制限が拡大されました。

 この改正により、教育機関は権利者の了解なしに、条約上保護義務のある外国の著作部等も含め公表されている全ての著作物等について授業目的の公衆送信ができるようになり、教材作成の円滑化や教育の質的向上に貢献すると考えています。

 2018(平成30)年の著作権法改正により、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信についても、権利者の了解なしに行うことができることとなりましたが、権利制限の代償措置として、教育機関の設置者は権利者に相当な額の補償金を支払うことが必要とされました(これを「授業目的公衆送信補償金」といいます。改正法35条2項、104条の11参照)。

 この補償金請求権は本来個々の権利者に与えられたもので、補償金の額も本来は個々の権利者と交渉をして決めるのですが、教育機関で利用される著作物等は多種多様であり、また大量に利用されることから、補償金の請求及び受領の簡便化、効率化等を図るために、権利者の代表と認められる団体であって、文化庁長官の指定を受けた団体(これを「指定管理団体」といいます)があるときは、当該団体を通じてのみ補償金請求権を行使することになりました(改正法104条の11参照)。

 この指定管理団体として、既に2019(平成31)年2月15日に「一般社団法人授業目的公衆送信等管理協会」(略称:SARTRAS(サートラス))(本会のことです)が文化庁長官から指定を受けています。

授業目的公衆送信補償金に係る指定管理団体の指定について(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

 このことを教育機関側から見ますと、この指定管理団体は、条約上保護義務のある外国の著作物等も含め全ての著作物等に関する補償金請求権を管理していることになりますので、著作物を利用する際は、この団体だけに補償金を支払えば、改正法35条の範囲内の公衆送信について、権利者の了解なしに利用できることになります。

 なお、この指定管理団体は補償金請求権を独占的に管理するため、補償金の額は、文化庁の認可制になっています。補償金の額はまだ申請前なので認可されていませんが、指定管理団体では、現在教育機関関係者との間で情報交換を進めているほか、認可申請前には教育機関設置者の団体から意見聴取を行う予定です。

 著作権法35条の改正を提言した文化審議会の検討結果では、複製機器等の普及状況や外国における法制度を踏まえると、授業目的の著作物等の複製・公衆送信のどちらについても補償の必要性が認められるとしつつ、これまで無償で利用できるとしていた行為についてまで補償金の支払い対象にすると教育現場に大きな混乱をもたらすとして、新たな権利制限の対象行為についてのみ補償金の対象とすべきとしています。

 この検討結果については、デジタル化社会が進展する中で、教育利用という公益性のある利用であったとしても、デジタル方式により著作物等が複製され、公衆送信されると違法複製物の作成、拡散の危険性が高まり、権利侵害がより深刻になるおそれがあるとする権利者側の懸念を理解していただいたものと考えています。

 このようなことから、改正著作権法35条における補償金制度の導入については、教育利用という公益的な利用と権利者が被る不利益の調整の結果であると考えています。

 なお、改正著作権法では、補償金の請求については、指定管理団体制度を採用し、文化庁長官が指定した管理団体(本会のことです)を通じてのみ請求することになっています。したがって教育機関については、本会に文化庁長官が認可した補償金の額を支払えば、補償金の支払いは完了したことになります(改正法104条の11、104条の13参照)。

 改正著作権法35条の補償金制度は、教育利用という公益的な利用と権利者が被る不利益の調整の結果、導入されたものです。

 補償金は確かに一定の財政的負担となりますが、今回権利制限が導入された利用範囲については、法改正以前も一般に有償であり、かつ、これまでは利用に当たってひとつひとつ許諾を取る必要がありました。また、本制度はあくまで新たな選択肢であり、必ずしも全ての教育機関が補償金を支払わなければならないものではなく、これまでどおり個別に契約をして利用していただいても構いません。
 改正著作権法35条により、今後さらに拡大するであろうICTを活用した授業目的の公衆送信について、外国の著作物等を含め公表された全ての著作物等について、本制度によって、これまでのような利用許諾契約の手続きの負担なく自由に利用できるという利点についても着目していただきたいと考えています。
また、指定管理団体制度の採用により、補償金の支払い窓口も1つに限定され、事務手続の大幅な簡便化が図られています。

なお、補償金の額は教育機関設置者の団体への意見聴取も含めて本会が作成したものを文化庁長官へ申請し、文化庁長官が認可するものであり、本会が自由に設定できるわけではありません。

 このように、教育機関が一方的に重い負担を強いられるという仕組みでないないことをご理解いただきたいと考えています。

 補償金の額についてはまだ決まっていません。

 補償金の額については、指定管理団体である本会が補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受ける必要があります(改正法104条の13第1項参照)。

 また本会が補償金の額を定めるに当たっては、あらかじめ教育機関側から意見を聴取する必要があります(改正法104条の13第3項参照)。

 現在、本協会は、関係者フォーラムで得られた教育関係者からの意見の集約に努めているところであり、今後補償金案を策定し、法律上の正式な意見聴取を教育機関の設置者の代表団体から行った上で、認可申請を行う予定です。

 なお、申請の時期については未定です。

 補償金の支払義務者は、改正著作権法35条2項で教育機関の設置者と定められています。

 具体的な支払い方法は未定ですが、個々の教育機関が補償金を支払うのではなく、例えば教育委員会、学校法人、国、地方公共団体等の教育機関の設置者ごとに傘下の教育機関の分がまとめて本会に支払われることも考えられます。

 補償金の対象範囲は、改正著作権法35条に定める授業目的の公衆送信を行う行為です。
同じ教育機関でも、例えば、小学校の場合、1年から4年までは対面授業だけで、授業目的の公衆送信を行うのは5年と6年のみということであれば、補償金の対象範囲は原則として5年と6年の分だけということになります。
また、大学の場合、A学部は実施しないが、B学部は実施するということであれば、補償金の対象範囲は原則としてB学部だけということになります。

 このように、授業目的の公衆送信を行わない児童・生徒・学生等の分については補償金の支払いを要しません。また、本制度はあくまで新たな選択肢であり、必ずしも全ての教育機関が補償金を支払わなければならないものではなく、これまでどおり個別に契約をして利用していただいても構いません。

 分配の方法に関する詳細については、今後本会において検討することになります。

分配については透明性が重要であると考えておりますが、教育機関の種類や教育の内容等によって利用の実態が異なると思われるため、統計学的に一定の精度を確保するための方法等について、調査の専門家等も加え関係者間で具体的な方法を検討することにしています。

 改正著作権法では、授業目的公衆送信補償金の総額の一定割合を、「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業に支出しなければならない」としています(改正法104条の15第1項参照)

 これを本会では「共通目的事業」と呼んでいます。

 改正著作権法においてこの制度ができたのは、指定管理団体は外国の著作物等を含めた公表されている著作物等の全ての補償金請求権を強制的に管理しているにもかかわらず、権利者が不明で連絡できないことや通常の実態調査では分配の対象となる権利者が完全に捕捉できないこと等から、全ての権利者に正確に補償金を分配することができないので、共通目的事業の実施により間接的にではありますが補償金の一部を権利者又は社会全体に還元するために設けられたものです。

 この共通目的事業への支出については、わが国の場合、私的録音録画補償金制度において同様の例があります(現行法104条の8参照)。

 なお、共通目的事業に使用される割合は、今後改正後の著作権法施行令第57の11を踏まえて定められることになっています。また、事業の内容については、今後本会において検討することになっています。

 共通目的事業は、本会が教育機関の設置者から収受した授業目的公衆送信補償金の総額から、改正後の著作権法施行令第57の11に基づいて定められる一定割合を差し引いた金額を共通目的基金とし、それを原資として事業が行われることになります。

 共通目的事業の内容は、改正著作権法で「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業」に支出されることになっています(改正法104条の15第1項参照)。

 具体的な事業はまだ決まっていませんが、本会に設置される予定の共通目的事業委員会(仮称)において、権利者側、教育機関側に学識経験者を加えた委員により審議され決定されることになります。

 改正著作権法のうち、授業目的公衆送信補償金制度に関する部分については、補償金制度の円滑な実施を図るためには相当の準備期間を要することから、改正著作権法の公布の日である2018(平成30)年5月25日から3年以内で政令において定める日から実施(施行)されることになっています。

 したがって、改正著作権法35条が実施(施行)されるまでは、対面授業の同時公衆送信以外の公衆送信については、権利者の事前の了解が必要となりますのでご注意ください。

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 著作権法では、他人の著作物等を複製や公衆送信等の方法によって利用する場合、原則として権利者の事前の了解が必要とされています。

 しかしながら、全ての利用について権利者の了解が必要だとすると、著作物利用の性質からして著作権が及ぶものとすることが妥当でないものや、公益上の理由から著作権を制限することが必要と認められるものなどがあることから、著作権法で定められた特別の場合については、権利者の了解なしに著作物等を利用してもよいことになっています(これを「著作権の制限」といいます)。

 この1つの例が学校等の非営利の教育機関における授業目的の著作物等の利用です(現行法35条)。この規定は教育という公益的な利用にかんがみ、一定の条件を課した上で著作物等の自由利用を認めています。35条も含めた教育関係の制度の概要については下記を参照してください。

著作権テキスト<初めて学ぶ人のために>(文化庁)<35条の解説は68頁>(閲覧日2019.3.18) 
著作権なるほど質問箱(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

教育関係者向けパンフレット(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

学校教育と著作権(公益社団法人著作権情報センター)(閲覧日2019.3.18)

情報通信技術(ICT)の進展により、遠隔地に居ても希望する授業がうけられたり、予習・復習のために授業を繰り返し視聴したりする等、ICTを活用することによって教育の質の向上や教育機会の確保が期待されています。

 現行の著作権法では、学習者を前にして行われる対面授業で利用される著作物等を複製・配布することや、当該授業が行われている場所とは別の場所に同時に公衆送信することができることとされています(現行法35条2項)。

 2018(平成30)年の著作権法改正では、この対面授業の同時公衆送信だけでなく、それ以外の公衆送信も権利者の了解なしにできるようになりました(改正法35条1項)。

 改正後は対面授業で利用された著作物等をクラウドなどに一旦蓄積し、学習者等からの求めに応じ、権利者の了解なしに著作物を公衆送信できるようになりました。

 また、学習者の前で行われない授業(スタジオ型授業)も同様に、同時か異時かにかかわらず、権利者の了解なく著作物等を公衆送信できるようになりました。

 この改正により、今までは権利者の了解なしにできなかった異時で行われる遠隔 授業や、予習・復習のための著作物等の利用、通信制の学校・学部等で行われるスタジオ型授業等に権利制限が拡大さ れたことになります。

 なお、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信については、権利者の了解は必要なくなりましたが、教育機関の設置者は権利者に相当な額の補償金を支払うことが必要とされました(これを「授業目的公衆送信補償金」といいます。改正法35条2項、104条の11参照)。

制度の詳細については、下記のサイトを参照してください。

教育の情報化等を推進するための著作権法の改正について(通知)(文化庁)(閲覧日2019.3.18)
教育の情報化の推進のための著作権法改正の概要(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

 情報通信技術(ICT)の進展により、ICTを活用した教育が今後も拡大していくと考えられています。

 その場合に、他人の著作物等を教材として活用する必要性も高まると思われますが、例えば、権利者に相談しても利用を断られる、権利者の連絡先が不明で了解が得られない、高い使用料を請求されるなどの理由から契約処理を円滑に行うことができず、場合によっては利用を断念せざるを得ないこともあります。

 改正著作権法35条では、ICTを活用した教育が拡大しつつあるという状況を踏まえ、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信についても権利制限が拡大されました。

 この改正により、教育機関は権利者の了解なしに、条約上保護義務のある外国の著作部等も含め公表されている全ての著作物等について授業目的の公衆送信ができるようになり、教材作成の円滑化や教育の質的向上に貢献すると考えています。

 2018(平成30)年の著作権法改正により、対面授業の同時公衆送信以外の著作物等の公衆送信についても、権利者の了解なしに行うことができることとなりましたが、権利制限の代償措置として、教育機関の設置者は権利者に相当な額の補償金を支払うことが必要とされました(これを「授業目的公衆送信補償金」といいます。改正法35条2項、104条の11参照)。

 この補償金請求権は本来個々の権利者に与えられたもので、補償金の額も本来は個々の権利者と交渉をして決めるのですが、教育機関で利用される著作物等は多種多様であり、また大量に利用されることから、補償金の請求及び受領の簡便化、効率化等を図るために、権利者の代表と認められる団体であって、文化庁長官の指定を受けた団体(これを「指定管理団体」といいます)があるときは、当該団体を通じてのみ補償金請求権を行使することになりました(改正法104条の11参照)。

 この指定管理団体として、既に2019(平成31)年2月15日に「一般社団法人授業目的公衆送信等管理協会」(略称:SARTRAS(サートラス))(本会のことです)が文化庁長官から指定を受けています。

授業目的公衆送信補償金に係る指定管理団体の指定について(文化庁)(閲覧日2019.3.18)

 このことを教育機関側から見ますと、この指定管理団体は、条約上保護義務のある外国の著作物等も含め全ての著作物等に関する補償金請求権を管理していることになりますので、著作物を利用する際は、この団体だけに補償金を支払えば、改正法35条の範囲内の公衆送信について、権利者の了解なしに利用できることになります。

 なお、この指定管理団体は補償金請求権を独占的に管理するため、補償金の額は、文化庁の認可制になっています。補償金の額はまだ申請前なので認可されていませんが、指定管理団体では、現在教育機関関係者との間で情報交換を進めているほか、認可申請前には教育機関設置者の団体から意見聴取を行う予定です。

 著作権法35条の改正を提言した文化審議会の検討結果では、複製機器等の普及状況や外国における法制度を踏まえると、授業目的の著作物等の複製・公衆送信のどちらについても補償の必要性が認められるとしつつ、これまで無償で利用できるとしていた行為についてまで補償金の支払い対象にすると教育現場に大きな混乱をもたらすとして、新たな権利制限の対象行為についてのみ補償金の対象とすべきとしています。

 この検討結果については、デジタル化社会が進展する中で、教育利用という公益性のある利用であったとしても、デジタル方式により著作物等が複製され、公衆送信されると違法複製物の作成、拡散の危険性が高まり、権利侵害がより深刻になるおそれがあるとする権利者側の懸念を理解していただいたものと考えています。

 このようなことから、改正著作権法35条における補償金制度の導入については、教育利用という公益的な利用と権利者が被る不利益の調整の結果であると考えています。

 なお、改正著作権法では、補償金の請求については、指定管理団体制度を採用し、文化庁長官が指定した管理団体(本会のことです)を通じてのみ請求することになっています。したがって教育機関については、本会に文化庁長官が認可した補償金の額を支払えば、補償金の支払いは完了したことになります(改正法104条の11、104条の13参照)。

 改正著作権法35条の補償金制度は、教育利用という公益的な利用と権利者が被る不利益の調整の結果、導入されたものです。

 補償金は確かに一定の財政的負担となりますが、今回権利制限が導入された利用範囲については、法改正以前も一般に有償であり、かつ、これまでは利用に当たってひとつひとつ許諾を取る必要がありました。また、本制度はあくまで新たな選択肢であり、必ずしも全ての教育機関が補償金を支払わなければならないものではなく、これまでどおり個別に契約をして利用していただいても構いません。
 改正著作権法35条により、今後さらに拡大するであろうICTを活用した授業目的の公衆送信について、外国の著作物等を含め公表された全ての著作物等について、本制度によって、これまでのような利用許諾契約の手続きの負担なく自由に利用できるという利点についても着目していただきたいと考えています。
また、指定管理団体制度の採用により、補償金の支払い窓口も1つに限定され、事務手続の大幅な簡便化が図られています。

なお、補償金の額は教育機関設置者の団体への意見聴取も含めて本会が作成したものを文化庁長官へ申請し、文化庁長官が認可するものであり、本会が自由に設定できるわけではありません。

 このように、教育機関が一方的に重い負担を強いられるという仕組みでないないことをご理解いただきたいと考えています。

 補償金の額についてはまだ決まっていません。

 補償金の額については、指定管理団体である本会が補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受ける必要があります(改正法104条の13第1項参照)。

 また本会が補償金の額を定めるに当たっては、あらかじめ教育機関側から意見を聴取する必要があります(改正法104条の13第3項参照)。

 現在、本協会は、関係者フォーラムで得られた教育関係者からの意見の集約に努めているところであり、今後補償金案を策定し、法律上の正式な意見聴取を教育機関の設置者の代表団体から行った上で、認可申請を行う予定です。

 なお、申請の時期については未定です。

 補償金の支払義務者は、改正著作権法35条2項で教育機関の設置者と定められています。

 具体的な支払い方法は未定ですが、個々の教育機関が補償金を支払うのではなく、例えば教育委員会、学校法人、国、地方公共団体等の教育機関の設置者ごとに傘下の教育機関の分がまとめて本会に支払われることも考えられます。

 補償金の対象範囲は、改正著作権法35条に定める授業目的の公衆送信を行う行為です。
同じ教育機関でも、例えば、小学校の場合、1年から4年までは対面授業だけで、授業目的の公衆送信を行うのは5年と6年のみということであれば、補償金の対象範囲は原則として5年と6年の分だけということになります。
また、大学の場合、A学部は実施しないが、B学部は実施するということであれば、補償金の対象範囲は原則としてB学部だけということになります。

 このように、授業目的の公衆送信を行わない児童・生徒・学生等の分については補償金の支払いを要しません。また、本制度はあくまで新たな選択肢であり、必ずしも全ての教育機関が補償金を支払わなければならないものではなく、これまでどおり個別に契約をして利用していただいても構いません。

 分配の方法に関する詳細については、今後本会において検討することになります。

分配については透明性が重要であると考えておりますが、教育機関の種類や教育の内容等によって利用の実態が異なると思われるため、統計学的に一定の精度を確保するための方法等について、調査の専門家等も加え関係者間で具体的な方法を検討することにしています。

 改正著作権法では、授業目的公衆送信補償金の総額の一定割合を、「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業に支出しなければならない」としています(改正法104条の15第1項参照)

 これを本会では「共通目的事業」と呼んでいます。

 改正著作権法においてこの制度ができたのは、指定管理団体は外国の著作物等を含めた公表されている著作物等の全ての補償金請求権を強制的に管理しているにもかかわらず、権利者が不明で連絡できないことや通常の実態調査では分配の対象となる権利者が完全に捕捉できないこと等から、全ての権利者に正確に補償金を分配することができないので、共通目的事業の実施により間接的にではありますが補償金の一部を権利者又は社会全体に還元するために設けられたものです。

 この共通目的事業への支出については、わが国の場合、私的録音録画補償金制度において同様の例があります(現行法104条の8参照)。

 なお、共通目的事業に使用される割合は、今後改正後の著作権法施行令第57の11を踏まえて定められることになっています。また、事業の内容については、今後本会において検討することになっています。

 共通目的事業は、本会が教育機関の設置者から収受した授業目的公衆送信補償金の総額から、改正後の著作権法施行令第57の11に基づいて定められる一定割合を差し引いた金額を共通目的基金とし、それを原資として事業が行われることになります。

 共通目的事業の内容は、改正著作権法で「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業」に支出されることになっています(改正法104条の15第1項参照)。

 具体的な事業はまだ決まっていませんが、本会に設置される予定の共通目的事業委員会(仮称)において、権利者側、教育機関側に学識経験者を加えた委員により審議され決定されることになります。

 改正著作権法のうち、授業目的公衆送信補償金制度に関する部分については、補償金制度の円滑な実施を図るためには相当の準備期間を要することから、改正著作権法の公布の日である2018(平成30)年5月25日から3年以内で政令において定める日から実施(施行)されることになっています。

 したがって、改正著作権法35条が実施(施行)されるまでは、対面授業の同時公衆送信以外の公衆送信については、権利者の事前の了解が必要となりますのでご注意ください。

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